Microsoft Graph APIは企業利用のイメージが強いですが、無料で作成した個人アカウントでも利用できます。
ユーザーの同意を得た上で、Microsoft Graph を使用することにより、ユーザーのプロファイル、OneDrive や Outlook のメール、予定表、連絡先などの Office サービス、および Windows のデバイスおよびアクティビティにアクセスすることができます。
更にMicrosoft Graph API自体は無料で利用できます。
Microsoft Graph の従量制課金 API とサービスの概要
ほとんどの Microsoft Graph API は標準 API です。
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定義済みの使用しきい値内の標準 API へのアクセスは、追加コストなしでユーザー ライセンスの一部として利用できます。
Microsoftの機械翻訳はちょっと何言ってるか分かりませんが、要はAPIコール自体は無料(追加費用なし)で、API経由で操作する側のサービスが有料であれば、お金がかかるよということです。すなわちExcel Online、Word Online、One Driveなどの無料で利用できるマイクロソフト製品は無料でMicrosoft Graph APIも利用できるということです。
Microsoft Graph APIは非常に便利なツールで且つ、無料とくれば使わない手はありません。そこで基本的な使い方をサンプルプログラムを通じて学んでいきたいと思います。サンプルプログラムはPythonを使ってExcel Onlineにデータを追記していく簡単なプログラムです。ステップは
- アクセストークンの取得
- Excel Online上の特定ファイルのファイルサイズを取得
- Excel Online上の特定ファイルにファイルサイズを追記
という流れです。無意味なプログラムですが、実行するたびにデータが変わり動作を理解するには十分だと思います。
Excel Online上の特定ファイルのファイルサイズを取得して追記するプログラム
#!/usr/bin/python # coding: UTF-8 import requests import json import os #tokenファイルを読み込み tokenfile = "./data/token.txt" #アクセストークンの読み取り token = open(tokenfile, "r") access_token = token.read().strip() token.close headers = {'Authorization': 'Bearer {}'.format(access_token)} #Excel file sizeを取得 excelurl = "https://graph.microsoft.com/v1.0/me/drive/root:/GraphAPI/filesize.xlsx" resultexcelfile = requests.get(excelurl, headers=headers) excelfilejson = resultexcelfile.json() excelfilesize = (excelfilejson['size']) excelfilesizekilo = round(excelfilesize / 1024, 2) #Microsoft Graph APIを使ってExcel Onlineを更新 # POSTするJSONデータをdict型で作成 dict = { "values" : [ [ f"{excelfilesizekilo}", ] ] } #URLをセット url = "https://graph.microsoft.com/v1.0/me/drive/items/9XXXXXXXXXXXXXXXXXXX0/workbook/tables/{DXXXXXX-AAAA-BBBB-CCCC-CDDDDDDDDDDC}/rows" result = requests.post(url, headers=headers, json=dict) jsondata = (result.json())
プログラム解説
#tokenファイルを読み込み tokenfile = "./data/token.txt" #アクセストークンの読み取り token = open(tokenfile, "r") access_token = token.read().strip() token.close headers = {'Authorization': 'Bearer {}'.format(access_token)}
まずはEntra IDのアクセストークンを取得します。取得方法はこちらの手順で取得したものをファイルに保存し利用します。読み取ったトークンをベアラー認証として使用します。
#Excel file sizeを取得 excelurl = "https://graph.microsoft.com/v1.0/me/drive/root:/GraphAPI/filesize.xlsx" resultexcelfile = requests.get(excelurl, headers=headers) excelfilejson = resultexcelfile.json() excelfilesize = (excelfilejson['size']) excelfilesizekilo = round(excelfilesize / 1024, 2)
Excel Onine上のファイル情報を取得するMicrosoft Graph APIエンドポイントは以下です。
GET https://graph.microsoft.com/v1.0/me/drive/root:/Path/To/filesize.xlsx
One Driveのルートディレクトリからファイルまでをフルパスで指定すればよいだけですが、
/drive/root:
という特殊な文字列をファイルパスの途中に入れる必要があります。
エクセルファイルのURLが指定できたらrequests.getを使ってファイル情報のJSONデータを取得し、’size’を指定してファイルサイズを取り出します。
最後に1024で割ってキロバイトにしておきます。
#Microsoft Graph APIを使ってExcel Onlineを更新 # POSTするJSONデータをdict型で作成 dict = { "values" : [ [ f"{excelfilesizekilo}", ] ] }
取得したファイルサイズをMicrosoft Graph APIを使ってExcel Online上のエクセルファイルに追記します。はじめに書き込むデータのdict型を作成します。この時、書き込むエクセルファイルのテーブルのカラムとデータの数が合っていないと書き込みできないので注意が必要です。
#URLをセット url = "https://graph.microsoft.com/v1.0/me/drive/items/9XXXXXXXXXXXXXXXXXXX0/workbook/tables/{DXXXXXX-AAAA-BBBB-CCCC-CDDDDDDDDDDC}/rows" result = requests.post(url, headers=headers, json=dict) jsondata = (result.json())
Excel Onlineを更新するMicrosoft Graph APIエンドポイントは以下です。
POST https://graph.microsoft.com/v1.0/me/drive/items/[file id]/workbook/tables/[table id]/rows
Content-Type: application/json
{
"values" : [
[
DATA1,
DATA2,
]
]
}
[file id]、[tablel id]は実際のIDを入力します。
file id、table idはこちらの手順を参考にMicrosoft Graph Explorerを使って取得してください。
最後にrequests.postを使ってデータをPOSTすれば書き込み完了です。
以上。