Microsoft Teamsのプレゼンスから部下がサボってないか監視しよう!~ エクセルで可視化編 ~

【目次】Teamsプレゼンス可視化ツール

0. プロローグ 1. 永続的なアクセストークンの取得 2. プレゼンスの取得 3. エクセルで可視化
4. PowerAutomate Desktopで定期実行 5. Pythonで実装 6. 完全自動化Pythonプログラム  

さて、全員分のTeamsプレゼンスが取得できましたので、エクセルに追記して可視化できるようにします。

土台となるエクセルファイルの準備

初めにプレゼンスを追記していくエクセルファイルを準備します。このようなファイルを作成します。

1行目はヘッダーです。A列は日付、B列からプレゼンスを追記していくメンバーを並べます。並べる順番は前回作ったメンバーリストと同じ順番にします。

またシート全体にこのような形で条件付き書式ルールを設定し、追記したプレゼンスに応じてセルの色を変更します。

シート名は「Dashboard」とします。

PowerAutomate Desktopでエクセルの書き込み

土台ができたのでPowerAutomate Desktopを使って各メンバーのプレゼンスの値をエクセルに追記していきます。

「Excelの起動」を選択します。

①「次のドキュメントを開く」を選択

②土台のエクセルを指定します。

「アクティブなExcelワークシートの設定」を選択します。

ワークシート名を「Dashboard」にします。

「Excelワークシートから最初の空の列や行を取得」を選択します。これは選択したシートの最初の空行を取得するフローです。これを入れることでどんどん下にプレゼンスの値を追記できるようになるわけです。最初の空行は「FirstFreeLow」という変数に格納されます。

「Excelワークシートに書き込み」を選択します。

A列には時刻を追記します。書き込む値は変数名「CurrentDateTime」、行はひとつ前のアクションで取得した変数名「FirstFreeRow」を指定します。

B列からプレゼンスを追記していきます。プレゼンスは変数名「JsonAsCustomObject」のavailabilityに入っていますが、複数人のプレゼンスを一度に取得しているのでインデックスを指定して対象の人のプレゼンスを個別に取り出す必要があります。取り出す方法は以下のように指定します。

%JsonAsCustomObject[‘value’][0][‘availability’]%

JSONのインデックスは0から始まるので一人目は0を指定します。

行は先ほどと同様、変数名「FirstFreeRow」を指定します。

二人目はこのような形。インデックスを “1” とします。あとはこのアクションを人数分繰り返すだけです。

最後は「エクセルを閉じる」を選んで

保存して終了です。

出来上がったアクションを「input_excel」という名前のサブフローとして登録します。

これでメンバー全員のTeamsプレゼンスを取得してエクセルに保存して一覧表示できるようになりました。

今回はここまで。次回は定期実行フローの作成です。

Microsoft Teamsのプレゼンスから部下がサボってないか監視しよう!~ プレゼンスの取得 ~

【目次】Teamsプレゼンス可視化ツール

0. プロローグ 1. 永続的なアクセストークンの取得 2. プレゼンスの取得 3. エクセルで可視化
4. PowerAutomate Desktopで定期実行 5. Pythonで実装 6. 完全自動化Pythonプログラム  

続いてはMicrosoft Graph APIからTeamsプレゼンスを取得します。これもPower Automate Desktopで実装します。

プレゼンスの取得は3つのアクションでできます。簡単です。

ユーザーリストの作成

ユーザのプレゼンスを取得するためには、対象ユーザのMicrosoft ID上のIDを取得する必要があります。IDを知るためのAPIエンドポイントは以下です。

GET https://graph.microsoft.com/v1.0/users/[userPrincipalName]

一番下の “id”: から始まる文字列がユーザを識別するIDです。

[userPrincipalName]はプリンシパル名を入れます。ほとんどの組織ではメールアドレスと同じです。

次はIDからプレゼンスを取得します。取得するAPIエンドポイントは以下です。

 

GET https://graph.microsoft.com/v1.0/users/[id]/presence

これでユーザのプレゼンスが取得できます。プレゼンスは”availability: “に表示されます。

このコマンドを人数分繰り返してもいいのですがまとめて取得することもできます。

POST https://graph.microsoft.com/v1.0/communications/getPresencesByUserId
Content-Type: application/json

{
    "ids": ["id1", "id2"]
}

まとめて取得する場合はPOSTメソッドで本文にJSON形式でidを並べたものを送ります。

PowerAutomate Desktopにこれらのリストをハードコーディングしてもいいのですが、人の増減に柔軟に対応できるよう以下のようなフォーマットでリストを作成しテキストファイルで保存しておくとメンテナンス性が向上します。

{
    "ids": [
	"c6eXXXXX-AAAA-BBBB-CCCC-ZZZZZZZZZ9fd",
	"31cXXXXX-AAAA-BBBB-CCCC-ZZZZZZZZZf61",
	"84bXXXXX-AAAA-BBBB-CCCC-ZZZZZZZZZa5b",
	"46cXXXXX-AAAA-BBBB-CCCC-ZZZZZZZZZf41",
	"389XXXXX-AAAA-BBBB-CCCC-ZZZZZZZZZ6e6",
	"810XXXXX-AAAA-BBBB-CCCC-ZZZZZZZZZc49",
	"14aXXXXX-AAAA-BBBB-CCCC-ZZZZZZZZZ4c6",
	"7cdXXXXX-AAAA-BBBB-CCCC-ZZZZZZZZZ335",
	"b1dXXXXX-AAAA-BBBB-CCCC-ZZZZZZZZZ794",
	"cabXXXXX-AAAA-BBBB-CCCC-ZZZZZZZZZf3f",
	"743XXXXX-AAAA-BBBB-CCCC-ZZZZZZZZZ0d4",
	"a82XXXXX-AAAA-BBBB-CCCC-ZZZZZZZZZcb3",
	"733XXXXX-AAAA-BBBB-CCCC-ZZZZZZZZZ3f1",
	"672XXXXX-AAAA-BBBB-CCCC-ZZZZZZZZZ31c",
	"c8bXXXXX-AAAA-BBBB-CCCC-ZZZZZZZZZbcb",
	"a1bXXXXX-AAAA-BBBB-CCCC-ZZZZZZZZZ450",
	"4a0XXXXX-AAAA-BBBB-CCCC-ZZZZZZZZZ2a6"
    ]
}

このファイルをid.txtとして適当な場所に保存します。

因みにJSONファイルの構文チェックはこちらのサイト利用すると間違いなく作成できます。

JSON Pretty Linter Ver3

PowerAutomate Desktopでプレゼンスを取得

下準備ができたところでPowerAutomate Desktopのアクション作成に入ります。

「ファイルからテキストを読み取ります」を選択します。

先ほど作成したidリストファイルを指定します。これでファイルの中身が「FileContents」という変数に格納されます。

次はHTTPの「Webサービスを呼び出します」を選択します。

入力項目は以下の通りです。

①プレゼンスを取得するAPIエンドポイント

②メソッドはPOST

③受け入れる/コンテンツタイプはJSON

④カスタムヘッダー。認証はベアラーにして、前回取得したtokenが格納されている変数「innertext」を入れます。

⑤ユーザIDリストが保存された変数

⑥変数に変換を選択

詳細はこのような形です。

⑦要求本文をエンコードしますはチェックを外します。

これでAPIの結果が「WebServiceResponse」変数に格納されます。

JSONをカスタムオブジェクトに変換

次は取得したJSONをPowerAutomate Desktopで取り出せるようにカスタムオブジェクトに変換します。

変数から「JSONをカスタムオブジェクトに変換に変換」を選択します。

これでJSON形式がPowerAutomateで扱えるカスタムオブジェクトに変換されました。

ここまでの3つのアクションを「get_presence」という名前でサブフローとして登録します。

今回はここまで。これで各メンバーのTeamsプレゼンスが取得できるようになったので、次回はエクセルに入力して可視化までやってみます。

Microsoft Teamsのプレゼンスから部下がサボってないか監視しよう!~ 永続的なアクセストークンの取得 ~

【目次】Teamsプレゼンス可視化ツール

0. プロローグ 1. 永続的なアクセストークンの取得 2. プレゼンスの取得 3. エクセルで可視化
4. PowerAutomate Desktopで定期実行 5. Pythonで実装 6. 完全自動化Pythonプログラム  

Teamsプレゼンスを定期的に取得するためにはMicrosoft Graph APIを利用します。Microsoft Grap APIは認証にAzure ADが発行したアクセストークンを利用します。アクセストークンには有効期限があり、有効期限が切れた場合はリフレッシュトークンを使用してアクセストークンを再発行する必要があります。

Microsoft IDプラットフォームで構成可能なトークンの有効期限

アクセス トークンは取り消すことはできず、有効期限まで有効です。 アクセス トークンの既定の有効期間は、変数です。 発行されると、アクセス トークンの既定の有効期間には、60 分から 90 分 (平均 75 分) の範囲のランダムな値が割り当てられます。

Microsoft IDプラットフォームの更新トークン

クライアントは保護されたリソースにアクセスするためのアクセス トークンを取得するときに、更新トークンも受け取ります。 更新トークンを使用して、現在のアクセス トークンの有効期限が切れたときに、新しいアクセス トークンと更新トークンのペアを取得します。

さて、ここで早速、壁にぶち当たります。リフレッシュトークンを利用した永続的なトークンの発行はその組織の管理者がAzure Portalからアプリとして登録をする必要があります。

Microsoft IDプラットフォームにおけるOAuth2.0プロトコルとOpen ID Connectプロトコル

個人用アカウントと職場や学校のアカウントの両方を受け付けるアプリはすべて、Azure portal のアプリの登録 エクスペリエンスを通じて登録する必要があります。登録後、OAuth 2.0 または OpenID Connect を使用して、それらのユーザーをサインインさせることができます。

今回作りたいのはこっそりTeamsのプレゼンスを取得してサボってないかの監視です。通常、Azure Portalにアプリを登録できるのは情報システム部であり且つ、会社としてオフィシャルなアプリだけです。いくら組織長だからといって社員を監視したいので独自のアプリを登録することは出来ません。

永続的なアクセストークンの取得はGraphエクスプローラーを使用

Microsoft Graph APIはブラウザから簡単にお試し利用が出来るGraphエクスプローラーというのが用意されています。よくREST APIが提供されているサービスのSwagger UIのマイクロソフト版といったところです。

このGraphエクスプローラーは以下の画面から有効なアクセストークンを表示することができます。このアクセストークンをコピーして再利用することで永続的なMicrosoft Graph APIへのアクセスを実現するわけです。

右上の「Access token」をクリックすると現在有効なアクセストークンが表示されるのでこれをもらってきます。

アクセストークンはPower Automate Desktopのブラウザ自動操作で取得

ブラウザの決まった動作はPower Automate Desktopで実現します。実装手順は以下の通りです。

Power Automate Desktopを起動して「新しいフローを作成」をクリックします。すると上の画面になりますので適当に名前を付けます。今回は「presence_flow」とします。作成をクリック。

続いて左のアクションの中から「新しいMicrosoft Edgeを起動する」を選択します。

各項目はこのようにします。初期URLはGraphエクスプローラーのURLにします。

続いてGraphエクスプローラーに表示されているアクセストークンをコピーします。この動作はPower Automate Desktopのレコーダー機能を使用します。このレコーダー機能はかなりコツが必要で、この画像のようにレコーダー機能画面とブラウザを並べて操作を記録していくと比較的うまくいきます。

まず初めにレコーダーの記録ボタンを押します。

 

続いて「Acces token」タブをクリックします。レコーダーにはこの動作のまま記録されていきます。

続いてアクセストークンが表示されている領域をクリックします。すると自動で要素を特定して選択状態になります。

この状態で右クリック→「要素の値を抽出」→「テキスト:」をクリックします。

するとアクセストークンが「innertext」という変数に格納されます。

最後に「Webブラウザを閉じる」アクションを入れて終了です。この例ではアクセストークンは変数に入れているだけですが、ファイルに保存することで使いまわしも可能です。

出来上がった一連のアクションを「get_token」という名前でサブフローとして登録します。

今回はここまで。次回はMicrosoft Graph APIを使用して部下のプレゼンスを取得します。