種子島にロケット打ち上げを見に行こう! 〜 打ち上げ編 〜

Xマイナス・・・10 , 9 , 8 , 7 , 6 , 5 , 4 , 3 , 2 , 1 , 0

・・・・・・ゴゴゴゴゴゴバリバリバリ

グランドフィナーレ打ち上げ編

やっと打ち上げ編です。打ち上げまで約13時間です。今回は前回の続き、場所取り後から夜の恵美之江展望公園、ロケット仲間とのふれあい、そして打ち上げをレポートしたいと思います。これまでの連載は以下です。

【種子島にロケット打ち上げを見に行こう!】

  1. 挫折編
  2. 計画編
  3. 予約編
  4. 準備編
  5. 旅立ち編
  6. 打ち上げ見学場下見編
  7. 機体移動見学編

尚、打ち上げを見る上で欠かせない知識として、「Xマイナス」というのがあります。Xは打ち上げ時刻のことで「Xマイナス180」は打ち上げ180秒前を表しています。私が見学したH2Aロケット34号機の正確な打ち上げ時刻は2017年6月1日午前9時17分46秒(日本標準時)です。

因みにULAやSpaceXのカウントダウンをyoutubeで見ていると「Tマイナス」言っています。TマイナスのTは諸説あるようですが、「Time」の略だそうです。何故JAXAは「Xマイナス」なんですかね・・・?

真夜中の恵美之江展望公園(Xマイナス13時間)

さて無事、恵美之江展望公園の突き出している部分の最前列を確保できました。確保できてホッとしたので、他のロケット仲間がどのように過ごしているか改めて公園内そして駐車場を散策してみることにしました。因みに公園内は外灯が無く真っ暗です。懐中電灯必須です。

まず場所取り状況ですが、ロケットの方角に突き出している部分の最前列(ベストポジション)は埋まっているといった状態です。またところどころ備え付けのベンチがあるのですが、そこにもレジャーシートや折りたたみ椅子が置いてあり埋まっています。場所さえ贅沢言わなければまだ最前列を確保できる模様です。まあそりゃそうですね。まだ打ち上げ13時間前ですから。

駐車場の方に行ってみると、車のタイプはいろいろで一番多いのがワゴンタイプでしょうか。後ろを開けてカセットコンロでお湯沸かしてラーメンを食べていたりテレビを見ていたりと、長時間待機を想定しての装備です。この人達は打ち上げ見学上級者っぽい感じです。

因みに公園の設備はトイレのみです。自動販売機はありません。尚、トイレのみ人感センサーのライトがあり、唯一電気がつきます。トイレに行くと安心します。因みにトイレのマークが宇宙飛行士でした。

トイレのマーク。翌朝撮影

そして星がキレイ!!東京では絶対に見られない星空です。空気の綺麗さが全然違うのでしょうね。

外灯もない真っ暗な公園ですが、人も多いので治安という意味では問題なさそうです。ざっと状況が分かったので一旦、車に戻ります。

2017年5月31日 22:00 (Xマイナス11時間20分)

さて車に戻り一息つこうと思ったら、ここで大失態に気が付きます。なんと飲み物を持ってくるを忘れました・・・。やっちまいました・・・。

打ち上げまで12時間近くあるのでその間水分補給なしは危ないです。一度宿に戻って取ってくる事も考えましたが次々と見学者が来ており、ここで抜けると駐車場が埋まってしまう恐れがありました。じゃあ歩くかとも考えましたが、車で5分の距離とはいえ外は真っ暗です。恐らく公園を出た瞬間、真っ暗&人っ子一人いない知らない道・・・。

yakkun

まあ12時間ぐらいなんとかなるか。最悪トイレの手洗いの水がある!飲んでも大丈夫でしょう!

なんかロケット第一主義で無謀な決断をしました。今考えると取りに戻ってもよかったような気もしますが、そのくらいロケット打ち上げは人を興奮させるということです(言い訳)皆さんは忘れ物にはお気をつけください。

2017年6月1日 00:00 (Xマイナス9時間20分)

日付が変わり打ち上げ当日となりました。車の中でネットするのも飽きたので外の様子を伺い且つ、トイレのために外に出てみます。

すると外は静寂に包まれていました。皆車のエンジンを切って車内でおやすみの模様です。私も慌ててエンジンを切ります。車中泊はエンジンを切るようです。人生初の車中泊なので勝手が分かっていません。懐中電灯を持ってトイレに行きます。トイレだけ電気がつきます。安心。車に戻って私も睡眠を取ることにしました。

2017年6月1日 05:00(Xマイナス4時間20分)

外が明るくなってきました。外の様子伺い&トイレのため車を出てみます。

場所取りで確保した場所に行ってみるとまだ人はいない模様です。そして射点に目を向けると鎮座しているH2Aロケットがありました。記念にパシャリ。

写真では分かりにくいですが、ロケットの真ん中あたりから白い煙が出ています。燃料である液体水素もしくは液体酸素かなと思われます。私が寝ている間も関係者の方々は作業されていたのですね。お疲れ様です。

そして振り返るとちょうど、朝日が登る瞬間でした。こちらもパシャリ。

2017年6月1日午前5時15分撮影

「今日の打ち上げがうまくいきますように」お天道様にお祈りします。

まだ人がいない且つ、6月とはいえ明け方は冷え込みます。もう一度車に戻って車内で待機することにしました。

2017年6月1日 06:30(Xマイナス2時間50分)

6時30分になりました。外も若干人の往来があります。外の様子を見に出てみることにしました。寒いのでレインコートを上着代わりに羽織ります。

場所取りした場所に行ってみると、数名既に待っている人がいます。恐らく前日夜からの徹夜組ではなく、早朝到着した人と思われます。いくら場所取りしてるからといって、ギリギリに最前列に割り込むのはマナー違反かなと思いましたので、私も列に加わることにしました。

yakkun

おはようございまーす。

ロケット仲間

おはようございまーす。

さて、ここからが場所取り本番です。打ち上げまで約3時間。ひたすら待ちます。

2017年 6月1日 07:00(Xマイナス2時間20分)

周りでレジャーシートなどを敷いて場所取りしていた人たちも続々と集まり出しました。あとから会話してわかったのですが、私の左隣りは大阪からのおじさん4人組(以降、大阪のおじさん)、右隣りは屋久島でのキャンプ帰りご夫婦(以降、屋久島ご夫婦)でした。また屋久島ご夫婦の更に右隣りは南種子町役場の方々の撮影隊でした。

2017年6月1日 08:00(Xマイナス1時間20分)

公園の一角で出店がオープンした模様です。焼きそば的な食べ物とロケット関連グッズを売っているお店の2店舗です。食べ物が売っているということは飲み物もあるはず!オープンと同時に行ってお茶をゲットしました。12時間ぶりの給水です。助かったぁ〜。

さて公園の状況はというと、ロケットの方角に向かっての最前列は全て埋まっている状況です。駐車場は満車ですが、バイク置き場にまだ余裕ありといった感じです。

右の賑わっている方が宇宙グッズのお店で左が焼きそば的な食べ物屋さんです。

公園の先端部分。奥がロケットの方角です。ロケット側の最前列は既に満員です。

バイク置き場の様子。まだ余裕があります。最前列に拘らなければバイクで1時間前に到着でもいいかなと思いました。因みに奥の高台も見学ができるように整備されています。

2017年6月1日 08:17(Xマイナス60分)

いよいよ一時間前です。ワクワクが止まりません。すると近所の幼稚園でしょうか。園児たちが先生に連れられて10名程度やってきました。そして私のすぐ後ろに立っています。

すると大阪のおじさんが「俺の前に来ていいよ」と園児数名を前に入れてやります。私も自分のレジャーシートを半分閉じて、「隣にきていいよ」と言いました。が、園児は私のことを警戒したのか首を横に振ります(笑

先生たちが「ありがとうございまーす」的なことを言って「いえいえ」みたいな会話をしていたら大阪のおじさんが私に話しかけてきました。レジャーシートをどかしたのを見て悪い奴じゃないなと思ったようです。そこから大阪のおじさんや屋久島ご夫婦との会話が始まりました。園児たちがいなかったらこの会話はなかったかもしれません。子供の力はすごいなぁ。

大阪のおじさんは打ち上げのニュースを見て仲間4人と弾丸ツアーで来たとのこと。宿も取ってないので今日打ち上がらなかったら見ずに帰ると言っていました。

屋久島ご夫婦は昨日まで屋久島でキャンプをしており、こちらも打ち上げニュースを見て急遽予定を変更して種子島入りしたとのこと。今日打ち上がらなくてもキャンプ道具一式があるので野宿でなんとかなるかなーと言っていました。凄いなぁ。

2017年6月1日 08:47(Xマイナス30分)

さあ30分前です。ロケットの様子に変化はありませんが、雲が無くなってきました。いい感じです。

大阪のおじさんは私が双眼鏡で見ているのが気になったらしく話しかけてきます。

大阪のおじさん

それ(双眼鏡)、よく見える?

yakkun

ええ、結構見えますよ。見てみますか?

大阪のおじさん

おおぉ。ほんまや、よく見える。なんか煙みたいのが出てるなー。

そして「ほら、これで見てみ」と他の仲間に貸してあげます(笑

僕のなんだけどなぁ。とか思いつつまあいいのです。これもふれ合いです。役に立って良かったです。大阪のおじさんは他にも

大阪のおじさん

お、鳥がおる。打ち上がったら鳥もびっくりするやろうなぁー。ガハハハ。

と言って周りを笑わせます。大阪のおっちゃんは元気でいいなー。

2017年6月1日 08:57(Xマイナス20分)

打ち上げ20分前です。もうこのころになると興奮と緊張でドキドキが止まりません。

2017年6月1日 09:07(Xマイナス10分)

10分前!

大阪のおじさん

いよいよやな!!

yakkun

そうですね!!

2017年6月1日 09:14(Xマイナス180)

3分前です!会場はカウントダウンを大音量で流しています。みんな固唾を呑んで待ちます。

yakkun

打ち上げ成功してくれーーー!!

2017年6月1日 09:17:26(Xマイナス20)

yakkun

いくぞーー!!

もう大興奮です。この時、勝手に声が出て身震いしたことを覚えています。

2017年6月1日 09:17:36(Xマイナス10)

10秒前!自然と全員でカウントダウンです。

10 , 9 , 8 , 7 , 6 , 5, 6 , 4 , 3 , 2 , 1, 0 !!

ピカ!!・・・・・・ゴゴゴゴゴゴバリバリバリ

yakkun

行けーーー!!行けっっーーーーーー!!!

まばゆい閃光。ゆっくり上がる機体。徐々に聞こえる音。音は想像を遥かに超える爆音です。そしてぐんぐん登る機体。爆音の中ロケットをこの目に焼き付けるよう必死で追いかけます。しかしロケットはあっという間に空の彼方へ消えていきました。

打ち上げ直後の射点

ぽっかり雲に穴があいてました。打ち上げが終わったら僕の心もぽっかり穴があいたみたいです。余韻に浸るというよりは打ち上げの凄さに放心状態になってしまったみたいです。

そして何と言っても感動です。ものすごい感動です。人間の凄さ、科学技術の凄さ、ロケットの打ち上げというか、地球から飛び出すためにはここまでエネルギーが必要なのか、それを支える技術の凄さに感動します。

いやー、本当に凄い。

yakkun

ロケットすげーな。こんなにすげーとは思わなかった。

長年の夢が叶った達成感と想像以上のロケットの凄さを実感した感動と同時に無力感を感じ、言葉が出ません。

さて実は後日、このH2Aロケット34号機をyoutubeで検索したところ、屋久島夫婦の右隣りにいた南種子町役場の撮影隊の方の動画が上がっていました。動画では最初右にターンして見学者の方々が映りますが、残念、私は左にいたので写っていませんでした。動画はこちらです。

大阪のおじさん

にいちゃん、凄かったな!ほなおっちゃんたち帰るから。気をつけてな。

yakkun

こちらこそありがとうございました。おじさんたちも気をつけて!

大阪のおじさんたち含め、皆さん打ち上げが終わると、良かったよかったと言って帰っていきます。しかしロケット打ち上げはここで終わりではありません。ロケット打ち上げの目的はペイロードと呼ばれるロケットに搭載されている人工衛星(今回はみちびき2号機)を分離して初めて成功といえます。

尚、ロケット打ち上げの飛行計画(打ち上げ後の第一段エンジン分離や第二段エンジンの燃焼開始、衛星の分離)もJAXAのページに公開されており、誰でも見ることができます。私は事前にこのロケット打ち上げ計画書を印刷して持参していました。

2017年6月1日 09:24(打ち上げ約7分後)

「第二段エンジン第一回燃焼開始」

打ち上げ後も実況放送は続いており、ロケットの情報を伝えてくれます。私はロケット打ち上げ計画書を見ながら実況放送を聞いていました。すると屋久島ご夫婦の奥さんが声をかけてきます。

屋久島ご夫婦

何見てるの?

yakkun

これですか?!JAXAのページに飛行計画が載っていてそれを見てます!見てください!ロケットって約25分でハワイ周辺の上空まで行っちゃうんですよ!?凄くないですか?!!

屋久島ご夫婦

え、ええ。す、凄いわね・・・。

引いております。確実に引いております(笑

私は無意識に興奮状態になっており、興奮気味にロケットの凄さを力説してしまい、屋久島ご夫婦の奥さんをドン引きさせてしまいました・・・。

2017年6月1日 09:42(打ち上げ約25分後)

突然、実況放送が終了してしまいました。あれー、分離がまだなのにーー。どうも実況放送のシステムが調子悪いようで、これまでもちょくちょく切れていました。まあ仕方ありません。後ほどニュースで確認したところ、無事みちびき2号機の分離が成功したとのことでした。よかった。

さて打ち上げ後30分もたつと、半分以上の人は帰ったあとでした。残っているは片付けをしている人たちや関係者の方々といった感じです。

私はなんとなく、射点の方を見て余韻に浸っていました。ほとんど人がいなくなってから私も片付けをしました。最後に記念に一枚、パシャリ。

宴の後といった感じです。

さてこれでロケット打ち上げ観覧記は終わりです。お疲れ様でした。

次回は2020年のH3ロケット打ち上げかな。また行くからな。種子島!!

【Unboxing & Review】Google Home MiniとNature Remo

Nature Remo活用シリーズ

0.開封編 1.ダイキンのエアコン 2.ダイキンのエアコン、その2
3.アイリスオーヤマのサーキュレーター 4.温度計 5.温度計、その2

我が家にGoogle Home Miniがきて早4ヶ月が経とうとしています。使いこなしてるかって?そりゃ毎日活用してますよ。我が家のテレビにはChromecastが刺さっていますので、「ねぇグーグル、テレビつけて」と言うとテレビがつきます。それだけ?とお思いでしょうが、これが結構便利なんです。朝とか時間がないときに着替えながらつけたり消したりが便利ですね。あとリモコンが一人でどっか行っちゃう現象から開放されました。リモコンて時間がないときに限ってどっか行っちゃうんですよね。会社行かなきゃいけないのにリモコンが見当たらなくってムキーッ!ってなる状況が無くなったのは大きいです。

テレビだけじゃないかって?そんなことはないですよ。あとはアラームですね。「ねぇグーグル、アラーム8時に設定して」と言っておけば朝ポロンポロン鳴ります。あとはまあ、おはようとかただいまとかですかね・・・。

ちょっと実際にどんな風に活用しているか振り返ってみましょう。

Google Homeアプリからアクティビティを確認

Google Homeアプリの「メニュー」→「マイ アクティビティ」と進むとGoogle Homeの音声コマンドの履歴が確認できます。ここ最近の履歴を振り返ってみましょう。

2018年1月某日

えーと、まず朝は「おはよう」で「テレビつけて」と。そして会社行くので「テレビ消して」。帰ってきたら「ただいま」言って、「テレビつけて」そして「消して」「おやすみ」と。

別の日

「おはよう」から始まって「テレビつけて」「消して」。会社から帰ってきたら「ただいま」「テレビつけて」「消して」そして「おやすみ」と。なるほど・・・。

おはようとおやすみとテレビつけて消してしか言ってないやないかい!!

これはいけません。Google Homeの実力のまだ数パーセントしか使っていないような気がします。

という訳でもっと利活用するべく模索することにしました。

Google Homeの醍醐味はスマート家電との連携

Google Homeは単体での使用よりいろいろな家電と連携させて音声コマンドで操作するとより一層使い方が広がります。対応している家電はGoogle Homeのページに載っています。

しかし対応している家電はまだ数が少なく、またGoogle Homeでの操作のためだけに家電を買い換えるのは大変です。そこで登場するのが学習リモコンです。

学習リモコンとは?

学習リモコンとは従来の家電の赤外線リモコンの信号を学習し、一つのリモコンで複数の家電を操作できるようにしたものです。学習リモコン自体は従来のリモコンのようなボタンが沢山付いているものもあれば、見た目は信号を発信するセンサー部分だけで、操作はスマホのアプリを用いるものと大きく分けて2つあります。

Google Homeと学習リモコンの橋渡し役IFTTT(イフト)

Google Homeと学習リモコンはそのままでは繋がりません。橋渡しとなる重要なサービスがIFTTT(イフト)です。

IFTTT(イフト)とはいろいろなクラウドサービスを連携するためのサービスです。Google HomeはGoogleアシスタントと呼ばれる音声認識技術を持ったAIアシスタントのサービスであり、IFTTTにも対応しています。同様にIFTTTに対応している学習リモコンを用意することで、従来の赤外線リモコンで操作する家電をGoogle Homeから操作できるようになります。文章にするとややこしいので図で示すと以下のとおりです。

学習リモコンはNature Remo

IFTTTに対応した学習リモコンはいろいろな種類の製品があります。検索すると迷ってしまうほど出てきますが、私はいろいろ検討した結果、Nature Remoという学習リモコンを使用することにしました。

Nature Remo開封の義

早速、開封の義です。

パッケージ
パッケージ背面
パッケージを外したところ
同梱物

同梱物は左からマニュアル、本体、貼り付け用テープ、電源ケーブルとアダプタです。

本体
通電してランプが光ってるところ
Google Home Miniと並んだところ

これから仲良くするんだぞ。

今回はここまでです。次回はGoogle Home Mini + IFTTT + Nature Remoでエアコンを音声操作するためにやったことの紹介です。

種子島にロケット打ち上げを見に行こう! 〜 機体移動見学編 〜

さて、ロケット打ち上げまで20時間を切りました。今回はロケット打ち上げ前の最大の見せ場である機体移動の見学レポートです。これまで連載は以下です。

【種子島にロケット打ち上げを見に行こう!】

  1. 挫折編
  2. 計画編
  3. 予約編
  4. 準備編
  5. 旅立ち編
  6. 打ち上げ見学場下見編

打ち上げ前のスペクタクル、機体移動

H2Aロケットは発射場にある大型ロケット組み立て棟(VAB)で組み立てられます。完成したロケットを約500メートル先にある射点に運ぶのが機体移動です。全長約53メートル、約300トンの巨大ロケットが直立のまま移動する。これは見ないわけにはいかない!!

ところで機体移動はいつ始まるの?

ロケット打ち上げ日時はJAXAから事前に発表されます。しかし機体移動の時刻は発表されません。事前に調べたところ打ち上げの凡そ12時間ぐらい前に行われるそうですが、正確な時間はその日の天候などで左右される模様です。結局私は前日になっても機体移動の時刻を知る方法が分かりませんでした。

yakkun

打ち上げは明日の午前9時20分だから、今日の夕方から夜にかけて行われるはずだ。どうしたら開始時刻を知ることができるだろう・・・。そうだ!宇宙センターに問い合わせたら教えてくれるかもしれない!

という訳でダメ元で宇宙センターのお問い合わせ先に電話してみます。

yakkun

もしもしすみません。ちょっとお伺いしますが機体移動は何時からでしょう?

宇宙センターさん

機体移動ですか?少々お待ち下さい・・・。えっと今日の23時からですね。

yakkun

23時ですか。ありがとうございます!

なんとサクッと情報をゲットできました。多分同様の問い合わせは多いのだろうな。とその時は思いましたが、はて、ちょっと遅すぎないかい?

事前情報では機体移動は発射時刻の凡そ12時間前。23時だと10時間前。んー。合っているかもしれないし間違っているかもしれない。胸騒ぎがします。機体移動を見逃してなるものか!!

という訳で他の方法で時刻を知る術ははいものかと頭を働かせます。

yakkun

ロケット打ち上げ見学に来ている人は沢山いるはず。もしかしたら他の打ち上げ見学者が機体移動の時間をツイッターでつぶやいているかもしれない!

という訳で早速ツイッターで”機体移動’を検索です。すると出てきます。親切な方が18時30分からの模様と情報提供してくれています。

機体移動の時間を知る方法

これは後から分かったのですが、機体移動だけではなく、H2Aロケットは個体ごとに専用のハッシュタグができ、そのハッシュタグを追いかけることでリアルタイムに情報を得ることができます。今回私が見るロケットはH2Aロケット34号機です。その場合のハッシュタグは #H2AF34 となります。

https://twitter.com/hashtag/H2AF34

この機体番号によるハッシュタグを追いかけることで機体移動の時間も分かりました。つぶやいている人はどこから情報を得ているのか分からないのですが、その人によると機体移動は5月31日の18時30分からとのこと。

yakkun

なんて親切な人がいるんだ。18時30分で確定みたいだな。安心安心。

機体移動をどこで見るか

時間が分かれば後はどこで見るかです。打ち上げは3キロメートル圏内は立入禁止となりますが、機体移動はその制限がありません。打ち上げ見学より近く且つ、全体を見渡させる場所ということで私はロケットの丘で見ることにしました。

ロケットの丘はどこにあるの?

名称: ロケットの丘
住所: 鹿児島県熊毛郡南種子町茎永 南種子町茎永

大型ロケット発射場との距離

例によってGoogleマップの機能を使って距離を測ってみます。ロケットの丘は大型ロケット発射場から北西に約1.9キロメートルのところにあります。ロケット打ち上げより約1キロメートル近くで見られるということです。

機体移動の時間までどうするか

只今の時刻は午後2時です。午前中は前回の記事の通りロケット打ち上げ見学場を下見していました。

yakkun

折角だから機体移動も最前列で見たいな。18時30分開始だから1時間前の17時30分にはロケットの丘に着くようにしよう。それまで時間があるから一回宿に帰って風呂に入って飯にしよう。もしかしたら機体移動の後そのままロケット打ち上げ見学の場所取りで徹夜になるかも知れない。

という訳で、機体移動の場所も決めて時間も把握したので一度宿に戻ります。状況によっては宿に戻ってくるのはこれで最後になるかもしれないという覚悟で、風呂、食事、見学のための準備をすることにしました。(大袈裟)

2017年5月31日 17時20分 宿(サニースポット)出発

サニースポットからロケットの丘までは車で5分です。近くて最高です。しかし気持ちがはやります。

yakkun

1時間前なんて遅すぎたかも。もう人で一杯だったらどうしよう。

2017年5月31日 17時30分 ロケットの丘に到着

予定通りロケットの丘に到着です。が・・・。

yakkun

あれーーー。誰もいないじゃ~ん。まだ早かったかな?

人っ子一人いません。実は午前のロケット打ち上げ見学場所を下見している時から気になっていることがありました。それは・・・人がいない。

予約はあんなに大変だったのにいざ種子島入りしてもロケット打ち上げ見学で来ている仲間らしき人はこれまで一人も見ていないのです。強いていうと宇宙ヶ丘公園でキャンプをやっていた方々数名のみ・・・。

yakkun

みんなどこ行っちゃったんだ?

まあ誰もいないってことはないでしょう。そのうち来るかなと気にしないことしました。折角到着したので記念に一枚。パシャリ。

ロケットの丘からはキレイに見えます。そして一人で待ちます。

2017年5月31日 17時50分頃

待っていると、段々と人が集まってきました。若い人が多いかな?更には大砲見たいなレンズを付けたカメラを持った人も現れました。腕には●●新聞と腕章を付けています。

yakkun

よかった。一人じゃないんだ。

やっと仲間に会えた気がしてホッとします。

2017年5月31日 18時00分頃

今度はJAXAの作業着を着た人たちが数名きました。どうも交通整理と車の駐車整理をするようです。私もずっと立っているのは疲れてきたのと車を移動した方がいいかなと思ったので車に戻って折りたたみの椅子を取りつつ、JAXAの人に誘導されながら車を停め直します。そして戻ってくると私の最前列が誰かに取られているということはなく、さっき居ましたよね的な感じでどうぞどうぞと前に入れてくれます。

yakkun

種子島の人(じゃないかもしれないけど)優しい人が多いなぁ。

ロケット仲間は優しい人が多いです。改めての実感です。

2017年5月31日  18時15分頃

後ろを振り返るとざっと40人ぐらいはいます。ロケットの丘はそんなに広くないのでこれでいっぱいという感じです。ワクワクして待ちますが、誰かがこんなことをボソッと言います。

ロケット仲間

機体移動の時間が19時からに変更になったって

マジかよ!早速、私もツイッターで検索します。すると19時に変更になったとの情報ありです。インターネットは便利だなぁ。

2017年5月31日 18時52分

夕日を浴びる大型ロケット組み立て棟(VAB)と射点。美しい。ドキドキしながら待ちます。

2017年5月31日  19時01分

キタ!!遂に機体移動開始です。周りからも声が上がります。座ってる場合じゃありません。立ち上がって撮影します。やっとご対面です。うれしいー。

19時02分

19時03分

19時04分

19時05分

19時06分。意外と早く進みます。ものの5分で3分の1まで進みました。

19時08分。半分越え。

19時10分

19時11分。第2射点の横を通過。

19時12分

19時13分

19時14分。あと少し!

19時16分。到着!

射点に無事着いたH2Aロケット。辺りは暗くなってきたのでライトで照らされています。

扉から出てきたのが19時01分で、射点に到着が19時16分でした。ロケットの丘からは組み立て棟を真横から見ている格好になるため、出たきたのが1分なので恐らく19時ちょうどに出発したものと思われます。16分で射点に到着なので意外に早いなという印象です。

さて機体移動が無事終わると、周りの人たちも良かったよかったと帰っていきます。さて私はどうするかな。

yakkun

結構みんなギリギリの時間になって集まるんだな。この調子なら打ち上げ見学場所も徹夜で場所取りなんて無いかもしれない。一度宿に戻って仮眠して明け方出発しても大丈夫そうだな。

という訳で一度宿に戻って仮眠を取ることにしました。でもまあ近くだし、恵美之江展望公園に寄って射点に鎮座しているロケットの写真でも撮るかなと展望公園に向かうことにしました。

2017年5月31日  19時30分頃

恵美之江展望公園に到着。ところが・・・。ファッッッ!!なんじゃこりゃ~~~!!

既に大量の車が駐車場に停まっています。恵美之江展望公園は海岸沿いの崖にあるのですが、そこに行くまでの道の両脇が駐車場を兼ねており、既に車が停まっています。

取り敢えず公園の先端まで車で行ってみますが、公園入り口の駐車場から今通ってきた道沿いの駐車場までみっちり車で埋まっています。

yakkun

ありゃりゃ、こりゃイカン。宿に帰って仮眠なんてとんでもない。私も車を停めて場所取りに参戦しなければ!!

という訳で予定変更です。道沿いの駐車場はまだ半分ぐらい空きがあったため、なるべく近くに車を停めます。そして速攻で車を降りて公園内を探索することにしました。

辺りは既に真っ暗です。そして公園には外灯がない!ランタン兼懐中電灯を持って公園内に入ります。懐中電灯持ってきて良かった〜。

懐中電灯で足元を照らして公園の先端(ロケットに最も近づける場所)がどうなっているのか探ります。すると既にレジャーシートがいくつも並んでおり、人もポツポツいるではないですか。

yakkun

場所取り始まってるやないかい!!

こりゃまずい。ダッシュで車に戻ってレジャーシートを取りに行きます。

yakkun

ここまで来たんだ。絶対に公園の最前列を確保して打ち上げを見たい!!見たいんだーーー!!

真っ暗な公園を一人ダッシュです。車に戻る。レジャーシートを手に取る。シートだけだと風で飛んじゃうので重しのための折りたたみ椅子や傘なども一緒に持ちます。そしてまた公園の先端に向けてダッシュ!

真っ暗な公園を懐中電灯で照らしながら場所を探します。

恵美之江展望公園は真四角な公園ではなく、自然に出来た地形に沿って手すりが付いています。射点に向かっては2箇所突き出している箇所があります。

真っ暗な公園を懐中電灯で照らしながら必死で場所を探します。まずは下見で目星を付けておいた、一番突き出している場所に行ってみます。流石にその突き出している場所の更に先端(ベストポジションであろう場所)は既に場所取りのレジャーシートが置いてあります。が、そこの3メートルぐらい左手に一人分のレジャーシートを広げられるスペースが空いています。更に隣は既に望遠用の3脚が置いてあります。

yakkun

ここしかない!ここだーーーー!!!(ズサーー)

いや別に他に人はいないんで滑り込みはしませんが、滑り込みセーフという感じでなんとか事前に目星を付けていた公園の先端の一箇所最前列を確保できました。

2017年5月31日  19時50分頃

ふー。これで一安心。改めて周りを見渡すとポツポツ人がいます。3脚をセッティングしている人、テントを張っている人もいます。ロケットの方を眺めている若者がいたので声をかけてみました。

yakkun

こんばんは!こんなに早くから場所取りが必要なんて知りませんでした!

若者

私もです!私も今来たところでこんなに人がいるとは思いませんでした!

なるほど。もしかしたらみんな機体移動を思い思いの場所でみてから公園にきたという感じなのかも知れません。

明日打ち上がるといいですね!!と言って若者とは別れました。真っ暗だし顔もよく見えなかったので彼と会話するのはもう出来ないかなと思いながらお休みの挨拶をしました。

2017年5月31日  20時00分頃

打ち上げまで約13時間です。思いの外、長い場所取りになりました。でも想定内です。このくらいは全然余裕。さて次回はやっと打ち上げ編です!

追伸

私はレジャーシートで場所取りをしましたが、どうも最近は物を置いての場所取りは禁止になった模様です。これからロケット打ち上げ見学をする人はご注意ください。